uporeke's diary

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タンドリーチキン

初めて食べたタンドリーチキンは自作だった。インド料理の草分けレヌ・アロタさんの本に偶然出会い、1カ月間毎食自作のインドカレーを食べていた。主にレンズ豆。ちょうど20歳の頃。友人どころか読書すらろくにできず、今になって省みるとちょっとおかしくて、病院なりに行くべきだった時代。それでも何かを作ろうとしたわたしは、当時流行まで至っていなかったインド料理に一人で熱中することでこころのバランスを取っていたのだと思う。もっとも、さすがに1カ月インドカレーばかり食べていると、それまでバーモントカレー甘口で育っていた身体が危険信号を発した。これ以上スパイスを身体に入れるとおかしくなる、そうして1カ月きっちり作り続けてやめた。おかげでインドカレーはたぶんぼけても作れると思う。

 

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タンドリーチキンはインドカレーからししとうとトマトを抜いた調味料をヨーグルトに混ぜてつけ込むだけ。ガスコンロの網焼きグリルのように火力のない場所で焼くなら、鳥ももを薄くスライスしておくといい。
-コリアンダー
-レッドペッパー
-ターメリック
-にんにく
-しょうが
-塩

今では買おうと思えばスーパーで手に入るようになったが、当時はどこに行って買えばいいのかわからなかった。確か、アメ横のデパート地下にあるエスニック食材屋まで足を運んでいたはずだ。ターメリックは入れすぎると苦くなる、コリアンダーはたくさん入れるべきなど、一通りのことを覚えてしまったが、実人生でタンドリーチキンをスパイスから作れることで感謝されたり褒められたりしたことなど数えるほどしかないので、自己投資としては失敗なのだと思う。そんなことはどうでもよくて、死ぬ間際とかにひっそりめちゃくちゃうまい比内地鶏とかでタンドリーチキン仕込んで死にたいと思う。誰も焼かなくていいから、自分がいい食材でいい調味をした、それだけの満足感。