uporeke's diary

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猫の口内炎

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15年連れ添った猫が口内炎になったのは、3年くらい前だろうか。猫は口内炎になると口の中が痛くなってメシを食わなくなって死ぬ。なので、この口内炎の薬ができるまでは猫が口内炎になったら死を意味する病気だったらしい。もっとも口内炎の薬は2週間で3000円くらいするので、こちらの財布の死も近くなる。

 

これまでは口内炎の薬を週に1回程度やっていれば悪化することはなかった。刺身にほんのちょっと薬をつけてやれば喜んで食べた後、「なんだかこの刺身は変な味がする」と疑いのまなざしになったりしたが、数分たつと忘れるので、必要な投与量は刺身と共に摂取していた。人は刺身と酒を、猫は刺身と薬を摂取してふつうの生活が送れていた。

 

今年の春にちょっとおかしいという兆候があった。猫毛が抜けないのだ。猫の毛は5月を過ぎるとどんどん抜けて至る所に飛び散る。服や鞄にもおかまいなしにくっついてくるので、黒いセーターは着られないと大島弓子先生がおっしゃっていた、そのとおりになっていた。ところが今年は猫毛が抜けない。どうやら、口の中が痛くて毛繕いができなかったらしい。そのために猫の体表にある脂がそのまま残り、毛をくっつけてしまったそうで、そのために猫の身体は固くなるらしい。可動部分に膠がついているような感じか。

 

8月に入って本格的にメシを食わなくなり、病院に連れて行ったところ、やはり口内炎がひどくなっているとのこと。固まっている猫毛を刈ってみると、右頬の部分が大きく腫れている。それまで毛で覆われていて分からなかったが、かなりぷっくりしている。ここに膿が溜まっているので、これが排出されればよくなるのだけど、なかなか難しいらしい。もしかしたら動物病院によっては切開して膿を出してくれるのかもしれないが、行きつけの病院ではそういう提案はなかった。わたしもそれでいいのかもしれないと思う。

 

元気はまだまだあって、刺身を見ると片目が膿でいっぱいなのに往年の大声でせがんでくるし、薄切りにすればがつがつ食べる。とはいえもう15歳を過ぎ、人間で数えれば75歳以上。平均寿命を3年以上越えているのだから、あとは薬の投与くらいで自然に任せるのがいいのかもしれない。わたしにできることは、半額になっている刺身を買ってくることくらいだ。