uporeke's diary

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速読について

あらゆる文章、本というのは読まなければ情報としてほとんど価値をなさない。読むという行為は人間の能力であって、それは電子書籍ができたりインターネットが発達したからといって改善されるものではない。書かれていることを把握する能力というのは外部媒体に頼って改善することができないことの一つだ。

 

  

そして速読という技術が考えられた。今よりも早く読むことができれば、より多くの書物を理解することができて、個人の能力が発達するはずだと。結論から言うと速読ではすばらしい人間になれるないと思う。

 

文章を理解する能力は確かに早くなるだろう。しかし、文章というのは情報のレベルにとどまっており、それが個人にどのように影響するかは別のレベルだ。比喩的に言うと文章を咀嚼して飲み込んで消化し体内に取り入れることで初めて個人の能力に関連することができる。速読は咀嚼するところまでが早くなるだけで、消化して血や肉になるところまで早くなるわけではない。もしかしたらたくさん読むことはできても消化速度が向上しているわけではないから、消化不良を起こして胃もたれや余計な脂肪になってしまうかもしれない。だとしたら速読は食べ過ぎのようなものではないか。

 

 

齋藤孝の速読塾 これで頭がグングンよくなる! (ちくま文庫)

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早く食べて早く吸収することができる人もいる一方、ゆっくり食べてゆっくり吸収することで体調がよくなる人もいる。つまらない正論だけど、自分が食べて吸収する速度までわかって、はじめて読書なのだと思う。と、読むのが遅い自分への言い訳に。