uporeke's diary

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三頭山登山

GWが始まったので、山に登ることにした。行き先は三頭山。頭山なら桜の花見がうるさーいと怒って自殺しちゃうわけだが、折しも三頭山のある奥多摩は桜の開花時期に重なっている。気をつけないとどぼんと行く羽目になるかもしれない。

新宿6:44発の急行に乗り、立川で青梅線に乗り換え奥多摩駅には8:30頃に着く。息つく暇もなく奥多摩湖行きのバスは5分くらいのブランクで出発する。このとき「鴨沢西」行に乗ることが肝要であり、GWということもあり増発している。他の行き先のバスでは目的地の「小河内神社」までは行かないらしい。小河内神社の一つ手前で降りるとトイレがあるので、そこでしっかり準備を固めてからいざ山へ。

ドラム缶を橋の両脇にくくりつけてできた浮き橋を渡り、意気揚々と山へ向かうもいきなり舗装された道に寸断されてしまう。道なりに右側へずんずん進むとちゃんと「三頭山登山口」と書かれた階段がある。ここで前に登った方が使ったであろう杉の枝の杖を発見。もう一本見つけて(杉の葉がついていたので「髭爺」と命名※写真1)これが今回の登山ではとても役に立ち、登山専門店などで売っているストックは伊達ではないことを痛感。去年の磐梯山でも思ったことだが、上りはきつい。都会では階段がつくレベルの急坂なのに、落ち葉やら瓦礫やらしか足下にはなく、短い足と堅い身体を精一杯伸ばしてようよう進めるような坂ばかり。しかも今回は尾根伝いに登ったので急さもさることながら、登り切ったと思ったら手前のイヨ山だったり「オツネの泣き坂」というぬか喜びが次々と待ち受け、みるみるやる気がなくなっていく。

3時間くらいかけて頂上へ。晴れていて富士山がくっきりと見えるが、そんなことどうでもいいくらいに疲れた。帰りは残業後に「好日山荘」で購入したミズノの登山用厚手の靴下が大活躍し、つま先への負担を大いに軽減してくれて楽々と降りられた。別のルートには有名な三頭大滝があったらしいが、それどころではない体力の減退。バスまではあと1時間もあるというところに救世主が現れた。この後立ち寄ろうとしていた数馬の湯の店員さんが別のお客さんを迎えに来ていたところに便乗させてもらう。無料。歩いていったら絶対途中で行き倒れる距離をすいすいと車で走り抜けると、それまで自分がちまちま登っていた苦労って何なのか、そもそも山があるからといって登る必要はないのではないかという根源的な問いに行き着きそうになる。5分程度で数馬の湯へ。

中島らもイヌイットだったかの習慣で、かまくらを作り中でたき火をし二酸化炭素を発生させてどうしようもなく苦しいところまで追い込んだあと、かまくらを壊して外に出ると普通の空気がどうしようもなくおいしく多幸感に包まれるという話をしていた。登山もそういうものだ。そして、普通の空気の代わりに山は温泉を用意している。ぬるっとした泉質だが、出た後はきゅっとなるいいお湯。露天風呂やらジャグジーやらを楽しむ余裕はありませんでした。