ガルシア=マルケス『戒厳令下チリ潜入記』
ガルシア=マルケス『戒厳令下チリ潜入記』(岩波新書)
(ISBN:4004203597)
チリの軍事政権の陰湿な内面を暴いたドキュメンタリー、という先入観で読み始めたのですが、あにはからんや、映画監督と各国の仲間達が変装してこっそりチリに潜入、見つからないかとどきどきしながら戒厳令下のチリの町、さらに軍事政権の内部にまで踏み入って撮影してしまう。
たいそうわくわくしておもしろい。この本を評するときによく使われる、「スパイ映画」のようというのはまさにその通り。それも携帯電話やインターネットのない時代なので、なんだか安心して読める、というのは年寄りの繰り言になってしまうのでしょうか。実際に撮影した内容もおもしろそうなので、映画もビデオ化されてるといいなあ。