uporeke's diary

苔を見ています http://www.uporeke.com/book/

コッパードを地道に再読中

郵便局と蛇 (魔法の本棚)

郵便局と蛇 (魔法の本棚)

好きな小説家といったらコッパードは欠かせない。合間合間にちらちらと読み返しており、最初に読んだ5年くらい前から新しい発見もあり、忘れているところもあり。新しい発見は、彼岸からの視点。天国にあっさり行っちゃう話や天国らしきところから、此岸をぼんやりした幻想のように振り返ることが多い。独自の詩的な印象というのは、彼岸の常識を読者にも共有させる力があり、読者にも此岸の常識がへんてこなものだと思わせることに成功しているからだと思う。「ツネッテ」は若島先生の解釈(『乱視眼読者の英米短篇講義』)だと生まれる前の子供が大きくかかわってくるし、天国のエレベーターに乗ってだらだらメシを食ったりしたりするのも、単に現実の拡大解釈ではなく、彼岸という異世界の日常なのである。