uporeke's diary

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スワガー-サン!

四十七人目の男〈上〉 (扶桑社ミステリー ハ 19-14)

四十七人目の男〈上〉 (扶桑社ミステリー ハ 19-14)

四十七人目の男〈下〉 (扶桑社ミステリー ハ 19-15)

四十七人目の男〈下〉 (扶桑社ミステリー ハ 19-15)

ティーブン・ハンター『四十七人目の男』を読みました! すごいよ、スワガー-サン! 『極大射程』などスワガーサーガとして有名なベトナム帰りのボブ・リー・スワガーが銃を捨てて日本刀を構える!

父の形見の日本刀を本来の持ち主に返すべく堂々と日本刀を持ち込むスワガー-サン。いきなり空港で拘束されちゃいます。ようやく真の持ち主であるサムライの元に返して帰国しようと思ったらサムライ一家が全員焼死し、あの日本刀は行方不明。ロリっ気のあるスワガー-サンは「俺のミコ(推定7歳)をかえせぇぇぇぇ」と怒り狂い自棄酒を浴びるも、あわれ日本政府により強制送還。アメリカの田舎に戻ったスワガー-サンは引きこもりになって、なぜかサムライ映画を狂ったように見続ける。そして「俺はスワガーじゃない、トシロウ・ミフネだっ」と60歳目前にして覚醒したスワガー-サンはサムライ一家の仇討ちに日本に戻るのでした。

一方の日本刀を手に入れたわるものの頭は「近藤勇」。無類の日本刀マニアにして剣の達人。さっそく切れ味を試すために暗がりに売春婦を誘い出し一刀両断。

それは、”斬り捨て御免”と呼ばれる行為であり、寛保二年――すなわち、西暦一七四二年に定められた<御定書百ヶ条>の第七十一条によって、すべての侍の権利として認められたものだった。

ハンター先生、今は江戸じゃありません! 至る所に名言だらけでつっこむ付箋が足りなくなったくらい。

「実際、痴女というのは肉欲を武器とする侍なんだ」
「(中略)タブロイド紙の記者の首が、三脚に組んだゴルフクラブの上に載せて、出版元の新聞社の外に置かれているのが発見されたんだ。あれは、ほんとうに想像力をかきたてるものだった。その三本のクラブというのは、8番と9番アイアン、そして3番ウッドだった。もちろん、ヤ - ク - ザさ。」
「このモカフラッペとかいうやつをおかわりするつもりだよ。日本人はこういうのにちょいと魚油かなにかを加えてるんだろうな。このドリンクはなかなか刺激的だ」

ハンター先生の東京の混沌ぶりはグローランサのブルーでさえげんなりだよ。下巻に入って斬り合いが始まるとますます混沌ぶりに拍車がかかり、シリアスな戦闘シーンのつもりだろうが、「キル・ビル」を見たとき以上のもやもや感につつまれます。それでいて刀剣の知識は必要以上に詳しいところがおかしい。Amazonでは10人中4人が☆1つという大・絶・賛。わたしはもちろん★5つだ!