uporeke's diary

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焼肉

11月も終わりご苦労様の焼肉に行ってきた。マタドール並の勢いで目黒にひらりと降り立ち、駅前の地下にある某店でムレタを構える。オーレッ。

お通しの山盛りキャベツと絶品ドレッシングをかきわけて、土煙を上げて出てきたレバ刺しをまずは軽く一突き。レバは真っ赤な血をしたたらせて躍りかかってくるが、ひらりと身をかわすと大蒜醤油に突き進み、振り返って飛びかかってきたところを食らいつく。うまい。二切れ目が間髪入れずに突進してくる。再びひらりとかわして今度は生姜とネギをたっぷり添えて食らいつく。オーレッ、オーレッ。

他にもロース、ミノ(第一胃)、ハツ(心臓)、シビレ(胸腺)を立て続けにひらりひらりとやっつける。オーレッ。途中からはビールを赤ワインに持ち替えてぱくりぱくりとやっつけていると、数々の仲間の死骸を乗り越えて恨みをかかえたツラミ(ほほ肉)がやってきた。半分凍っており、裏表をささっと炙ってレモン汁。マグロや鯨のほほ肉と同じようにコクがあって最高。最後に出てきたのど笛は亡き肉たちの哀しみをひゅうひゅうと奏でていた。オーレッ。

ほんとのところ、これだけ新鮮な肉が次々に出てくるには秘密があったのです。店の裏に地下牧場があり、そこで生きたまま牛の皮を剥ぎキャトルミューティレーションばりに内臓をこりこりっとえぐり出していたのです。兄さんたちが汚れたエプロンをしていたのはそういうわけだったのです。裏に行くと人間の皮を脱いでアーモンド型の黒い目が怪しく光り、「もったいない、もったいない」と生き血をすするエイリアンたちの姿が見られます。店名の闇市とは宇宙の暗黒で取引される牛の血液のことだったのです。